ダンサー達の想いを受け止めたい。ウクライナ・グランド・バレエ初来日 ウォータースペクタクル・バレエ『SWAN LAKE ON WATER』が開幕

スポンサーリンク
Art
撮影:堀 清香

撮影:堀 清香

2023年8月10 日(木) から「SWAN LAKE ON WATER ~ついに、ほんとうの水を得た『白鳥の湖』」が東京国際フォーラム(東京・千代田区)で開幕した。白鳥の着水をイメージしたのか、水を張った舞台や随所に用いられる噴水など、「水」を用いたウォータースペクタクルともいえるエンタテインメント・バレエが世界的な古典バレエ「白鳥の湖」の世界観はそのままに、新たなスペクタクルとしてよみがえらせた。

■激戦地・ハルキウのバレエダンサーが設立した「ウクライナ・グランド・バレエ」

撮影:堀 清香

このバレエを踊るウクライナ・グランド・バレエは、ウクライナ東部の街、ハリコフ(ハルキウ)にある、ハリコフ・オペラ・バレエのソリストであったダンサーらにより設立された。彼らはそもそもこの『SWAN LAKE ON WATER』を携え世界ツアーを計画していたのだが、コロナ禍とウクライナ侵攻により中断を余儀なくされる。その立地から対ロ戦の最前線のひとつとなってしまったハルキウからダンサーらは国外へと脱出。散り散りになった仲間たちを集め、再結成されたのが、このウクライナ・グランド・バレエである。

■伝統芸術へのリスペクトとハルキウからのメッセージ

『SWAN LAKE ON WATER』は、物語は古典バレエの筋に則ったものだ。大がかりなセットは用いず背景はプロジェクションマッピング。随所に噴水の演出効果が使用されるほか、2幕と4幕の湖のシーンは、水を張った舞台で踊られる。オデットはポワントを履いて踊るが、その他のコールドバレエのダンサーらはテーピングを巻いたような素足で踊る。シャバシャバと水がさざ波立つような音が響く中、水音を立てずに2幕のアダージョを踊り切るオデット役のダンサーは、相当に素晴らしい。指揮のヴァイシスが東京フィルハーモニー交響楽団を率い、しっかりと寄り添うのも頼もしい。

撮影:堀 清香

撮影:堀 清香

1幕や3幕の宮廷シーンで踊るダンサーらも非常に優雅。身振りの一つひとつに品があり丁寧で、ロシアバレエの伝統をしっかりと受け継いできた、力のあったバレエ団であったことがうかがえる。

そしてこの物語の見どころは4幕。
ネタバレは避けるがこの「ウクライナ・グランド・バレエ」のダンサーらの、心からのメッセージが凝縮されている。ぜひあらすじにざっと目を通して、ハリコフもといハルキウからのメッセージを受け取っていただきたい。

撮影:堀 清香


「白鳥の湖」について

世界で最も有名な「バレエの代名詞」ともいえる作品で、チャイコフスキーが作曲したこの「白鳥」と、『眠れる森の美女』『くるみ割り人形』は世界三大と呼ばれている。
1人のプリマ・バレリーナによる白鳥オデットと黒鳥オディールの二役の演じ分けや、一糸1乱れぬ群舞が見どころ。2幕の白鳥オデットと王子の優雅なアダージョや、3幕の黒鳥オディールの32回転(グランフェッテ)は見どころの一つだ。物語の舞台はドイツ。ジークフリート王子は友人らとともに王子の誕生会の宴を頼んでいた折、母親である王妃から舞踏会で花嫁を選ぶように命じられる。憂鬱な気分の王子は気晴らしに向かった湖で、悪魔ロットバルトの呪いで白鳥に姿を変えられた娘オデットと出会う。二人は惹かれ合い、オデットは彼女に真実の愛を誓う男性が現れればこの呪いは解けると伝える。王子はオデットに愛を告げる。
翌日開かれた舞踏会では、王子はオデットのことで心がいっぱい。しかし客人に変装した悪魔ロットバルトがオデットによく似た娘オディールを連れて現れ、オデットにそっくりなオディールを見た王子は、彼女をオデットと思い込み、その場で結婚の誓いを立ててしまう。悲しみにくれるオデットを追い、贖罪をすべく王子は再び湖へ向かうが…。

SWAN LAKE ON WATER ~ついに、ほんとうの水を得た『白鳥の湖』公演日程(開演時間):
8月10日(木) 14:00
8月11日(金・祝)【昼公演】12:00 【夜公演】17:00
8月12日(土) 【昼公演】12:00 【夜公演】17:00
8月13日(日) 12:00
会場:東京国際フォーラム ホールA(東京都千代田区丸の内3-5-1)
バレエ団:ウクライナ・グランド・バレエ
指揮:ノルムンズ・ヴァイシス
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
公式ホームページ
SWAN LAKE ON WATER〜ついにほんとうの水を得た『白鳥の湖』
2023年8月10日(木)〜13日(日)、東京国際フォーラム・ホールAにて開催。バレエ×水の演出×映像。未だかつてない幻想世界を創り出す、ウォーター・スペクタクルというバレエ新美学

コメント

タイトルとURLをコピーしました